2009年06月29日

Mahler Symphony No.8 in E-flat major 2009/6/24 @ Avery Fisher Hall, Lincoln Center

Mahler Symphony No.8 in E-flat major
Conductor : Lorin Maazel
Soprano : Christine Brewer, Nancy Gustafson, Jeanine De Bique
Mezzo-Soprano : Mary Phillips, Nancy Maultsby
Tenor : Anthony Dean Griffey
Bass : Wolfgang Schone
Bass-baritone : Jason Grant
New York Choral Artists, Director : Joseph Flummenrfelt
The Dessoff Symphonic Choir, Director : James Bagwell
Brooklyn Youth Chorus, Director : Dianne Berkun

こうやって書いてみても分かる通り、マーラーの八番は「千人の交響曲」の渾名通りの大編成だ。オケも、フル編成に加えてパーカッションが山ほどあって、到底追い切れないほど。しかも僕は最後の最後にチケットを買ったせいもあって、最前列で聴くことになってしまったので、最早ちゃんとした審美的評論は不可能でした。そのことを念頭に置いて読み進めていただけるとありがたいです。

まず、このコンサートのコンテクストから。

マゼールがNYPの常任に着いたのはテロの次のシーズン、すなわち2002年から。実に七年に渡って続いていた彼の挑戦がこのコンサートでひとまずの区切りを迎えるということもあって、(しかも彼は79才でキャリアは決してもう長くないはず)演奏開始で指揮者入場の時から、既にホールでは「ブラボー」が鳴り響いていた。

マゼールは早熟の天才が多いこの業界でもメニューインと並んで伝説的な人物で、初めてNYPの指揮をした時は確か8才だか10才だか、少なくとも小学校だったはず。そこからキャリアアップし続けてきたが、ベルリンフィルのカラヤンの後任争い(争ってはないとも言えるが)でアバドに敗れ、臥薪嘗胆の時期もあったが、輝かしい経歴を残してきた時代を代表する天才指揮者であることに替わりはない。

僕もNYCに来てからは度々彼のコンサートを聴いて来たが、ニューヨークの観客の即物的な要求(どんな曲だろうと盛り上がってフィニッシュしないといけない)に応えつつ、中間楽章やスローな部分もしっかり魅せてくれる素晴らしい指揮者だったと思う。指揮している時の立ち姿も格好良いし。

土曜日(27日)がグランド・フィナーレだったが、チケットは高いしソールドアウトだし、そっちは諦めたが、この日のコンサートも凄かった。

曲について少し書いておくと、この曲は第一部と第二部の独立性がかなり高く、第一部の主題が第二部で言及されるのは全体90分近くの本当に最後の最後になってから。なので、第二部の途中などは最早他の曲の様にすら響く。僕は第一部は割と好きなのですが、第二部が長くて、でかくて、正直良くわかりません。次々と珍しい楽器、奏法(ひたすらピッチカートとか)が展開されて、凄い人数のソリストとコーラスがそれに覆い被さっていくというのは、この曲でしか味わえないすごみですが、でかすぎて意味が分からないといえば分からない。しかも、マーラーの他の曲同様異常にしつこいので、余程のマーラー好きでないと苦しい曲なのではないでしょうか。但し、CDだと、音が大きすぎて色んなところが潰れてしまうので、そういう意味ではコンサートで聴いてこそ真価の分かる曲だとも言えるかも。

演奏のアプローチは割とゆっくり目。アメリカでの演奏らしく盛り上がりのところはばっちり盛り上げてニューヨーカーの下世話な下心(!?)を満足させつつも、すっきりと仕上げてきた印象です。ソリストも上手だったし、コーラスも…って人が多すぎて分かりませんでした。ま、沢山の人や音がちゃんと重なっていると素晴らしく聞こえるものです。そして、ちゃんと重なっていることだけでも本当に凄いことなんです。

最前列で聴いたせいで、技術的なお話はそんなところなんですが、このレベルになると、オケにミスがないのは当たり前、作品解釈が安定して一貫していることも当たり前なので、好みの問題の様な気もします。僕は割と好み。この曲に関しては理想の演奏があるわけではないので、楽しく聴けたということで僕は満足です。

いずれにせよ、コンサートの後は満員のスタンディング・オベーション。全然聴いていなくて、退屈そうに彼氏に甘えて髪の毛をいじっていただけのダメダメな白人ブロンドの隣の女の子も、斜め後ろで演奏中も会話を続けていた老夫婦も、とりあえずスタンディング・オベーション。苦笑。

最後の一年でしたが、マゼールの演奏を聴けて本当に良かったと思っています。
posted by よしき at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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